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アノード酸化により着色したチタン製スプーン

チタン製スプーンにアノード酸化を施すと、カラフルに着色されたスプーンが作製できます。

この鮮やかな発色は、「スプーンの表面に形成された酸化皮膜の表面」と「酸化皮膜とチタン地金の界面」からの反射光の干渉によるものです。アノード酸化時の化成電圧により酸化皮膜の膜厚さが変化し、色調も変化します。

発色は「光の干渉」によるものであるため、色素のような退色や、被毒の危険性がありません。
このためアノード酸化法は、耐候性が求めらるチタン部材や食器などへの着色法として適しています。

 

 

局在表面プラズモン共鳴 (Localized Surface Plasmon Resonance: LSPR)

ナノメートルスケールまで微細化した貴金属ナノ粒子に光を照射すると,金属表面の自由電子が集団振動し(この現象はLSPRと呼ばれています),ナノ粒子の表面近傍には高強度光電場(増強光電場)が形成されます。

高強度光電場は,表面増強ラマン散乱(Surface-enhanced Raman Scattering: SERS),蛍光増強,非線形光学素子,太陽電池などの光エネルギー変換デバイスなどへの応用が提案されています。これらデバイスの性能は,光電場増強度に大きく依存しており,光電場増強度はナノ構造体の幾何学形状や素材に依存することから,デバイス性能の改善を図るには「金属ナノ構造体の幾何学形状と素材」と「光電場増強度」の関係の把握は非常に大切です。

当研究室では,商用計算ソフト(Lumerical FDTD)を用いて,様々な幾何学形状の金属ナノ構造体における光電場増強効果の解析を行っています。

下図(左)には,金ナノ粒子の光電場増強を観察するための計算モデルを示しています。金ナノ粒子の直径は,80nmであり,粒子の上側から光を照射しています。

 

上図(右)には,光電場増強度の計算結果を示しています。右側のカラーバーは電場増強度を示しており,赤色は増強度は高く,青色は増強度が低いことを表しています。計算結果より,金ナノ粒子の左右の部分が赤くなっており,光電場増強場の形成が見られます。また増強度は,金ナノ粒子の表面付近で最も高く,ナノ粒子から離れるに従い低くなっています。増強度は,最も高い場所で,約4倍とわかります。